成人T細胞白血病とはどんな病気?初期症状や感染経路は?検査は?

成人T細胞白血病とは、血液のなかにある血液細胞には、外部から体内に侵入した細菌やウイ
ルスなど異物の排除などを役割とする白血球、酸素を運搬する赤血球、出血をとめるはたらき
がある血小板がある。これらの血液細胞のもとは造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)と
よばれ、骨の内部にある骨髄(こつずい)で生成され、増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟
した細胞になること)し血液細胞をつくる。造血幹細胞は骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に
わかれる。骨髄系幹細胞から赤血球、血小板、顆粒球(かりゅうきゅう)や単球が産生され、
リンパ系幹細胞からはB細胞、T細胞、NK細胞などのリンパ球が産生される。顆粒球、単球、
リンパ球をあわせて白血球とよぶ。

原因は?

成人T細胞白血病(ATL:adult T-cell leukemia-lymphoma)は、HTLV-1(human T-
lymphotropic virus type-Ⅰ)というウイルス感染が原因で、白血球のなかのT細胞に
感染し、感染したT細胞からがん化した細胞(ATL細胞)が無制限に増殖することで発症
する。HTLV-1ウイルスに感染しても必ずしも発症するわけではないが、ほかの白血病や
リンパ腫より病状が様々で、根治がむずかしい場合もある。

HTLV-1に感染した白血球のなかのT細胞が正常なリンパ球に直接接触すると他人にも感染
するが、おおくの場合は発症することはなく経過する。発症した場合でも感染者のごく
一部で、約30~50年間の潜伏期間がある。HTLV-1ウイルスに感染しても発症しないひとを
「キャリア」という。

HTLV-1とは?

HTLV-1とは、ヒトTリンパ向性ウイルス1型のことで成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連
脊髄症(HAM)の原因である。ATL、HAM以外にもぶどう膜炎、関節炎、膠原病(こうげん
びょう)、慢性肺疾患、慢性皮膚疾患など種々の慢性炎症疾患との関連が示唆されている。

          

感染経路

感染経路は、母乳による母子感染、輸血、性交による感染。発症につながる重要な感染経路は
母乳による母子感染であるため、発症率がたかい地域では妊婦検診で抗HTLV-1抗体検査など
の検査をおこない母子感染予防の対策がおこなわれている。
輸血による感染は、献血のときに抗HTLV-1抗体検査をおこない陽性者の血液をつかわなく
なったことから感染することはなくなった。

性交による夫婦間の感染は、発症までの潜伏期間がながいため、夫婦間で感染したあとに発症
したという報告はない。
発症の危険因子としては、母子感染、高齢者、血液中のウイルス量がたかい、家族に発症した
ひとがいる、ほかの病気の治療中にHTLV-1陽性が判明したことなどがある。

検査は?

診断をおこない、治療方針を決めるためには様々な検査をする。検査は診断だけでなく、病型
分類や発症にともなう様々な異常や合併症の有無を確認する目的もある。代表的な検査は、
血液検査と骨髄検査。治療開始後も定期的に検査をし、治療効果を確認する。

血液検査
血液中の血清をもちいてPA法(ゼラチン粒子凝集法)などで、HTLV-1ウイルス感染の有無を
しらべる。血液中で増加・減少している細胞を顕微鏡でくわしく調べ、とくに増加する異常
細胞が白血球のなかのT細胞の場合に、成人T細胞白血病・リンパ腫と診断される。

骨髄検査
骨髄穿刺(こつずいせんし)をし、骨髄液中にふくまれる細胞のカタチを顕微鏡でしらべる。
局所麻酔で、腸骨(腰の骨)または胸骨(胸の中央にある骨)にほそい針をさし、骨のなかに
ある骨髄液を注射器で吸引し採取する。注射器に骨髄液を吸引するさいに痛みがあり、この
痛みは局所麻酔では抑えられないが、通常は一時的な痛みにとどまる。骨髄組織を採取する
場合は、腸骨にややふとい針をさす骨髄生検をする。

病型分類

病態の特徴や予後不良因子(治療効果が低いさまざまな条件)などから、「急性型」「リンパ
腫型」「慢性型」「くすぶり型」の4つに分類されている。急性型、リンパ腫型、予後不良
因子(LDH、アルブミン、BUNのいずれか1つ以上が異常値)をもつ慢性型は「アグレッシブ
ATL」、予後不良因子がない慢性型、くすぶり型は「インドレントATL」と呼ばれる。
慢性型、くすぶり型は経過中に急性型へ移行することがある。その場合は早急な治療が必要と
なる。

急性型
最もおおい病型で、血液中のATL細胞が急速にふえている状態。全身の症状がみられ、早急な
治療が必要となる。

リンパ腫型
2番目におおい病型で、ATL細胞が血液中ではなくリンパ節で増殖している状態。急性型と同じ
ように急速に症状が進行するため、早急な治療が必要となる。

慢性型
3番目におおい病型で、血液中のリンパ球のかずは増加しているが明らかなATL細胞はそれほど
おおくなく進行速度はゆっくり。

くすぶり型
最もすくない病型で、血液中の白血球数は正常だが、そのうち5%以上がATL細胞である状態。
進行速度はゆっくり。

治療法は?

急性型、リンパ腫型、予後不良因子をもつ慢性型は一括して「アグレッシブATL」とよばれ、
急速に病気が進行するため速やかに治療を開始することが必要。予後不良因子のない慢性型、
くすぶり型は「インドレントATL」とよばれ、比較的経過がゆるやかなため、症状がほとんど
ない場合は経過観察をする。皮膚症状がある場合は、症状緩和のための治療をする。

化学療法
中心となる治療法は化学療法。急性型やリンパ腫型など進行のはやい病型では複数の細胞障害
性抗がん剤をつかった多剤併用療法をする。骨髄抑制による白血球減少、血小板減少、感染症
などがおこりやすいため、副作用対策もする。

分子標的治療
分子標的薬はがん細胞の増殖に関わる分子だけを標的とした薬剤。成人T細胞白血病・リンパ
腫のATL細胞には、約90%の割合で「CCR4抗原」という分子がみられる。このCCR4を標的と
した薬剤がモガムリズマブで、CCR4陽性の場合につかわれ治療成績が向上している。代表的
な副作用は皮膚障害。重篤になる場合もあるため皮疹、水ぶくれ、眼の充血などに注意しな
がら治療をする。

造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは、大量の化学療法や全身への放射線治療などの移植前処置(いしょくぜん
しょち)をしたあとに骨髄機能を回復させるため事前に採取した造血幹細胞を投与する治療。
初回の化学療法で効果がみられた場合はドナーの造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植が
すすめられ全身状態や年齢、ドナーが見つかるかなどを考慮し治療が検討される。

同種造血幹細胞移植でおこなわれる移植前処置方法は年齢で異なる。55歳までであれば、従来
からおこなわれている骨髄破壊的移植(フル移植)をする。50~70歳(ドナーが非血縁の
場合は65歳まで)で、移植前の強力な化学療法に耐えられない場合は、すこし弱めの移植前
処置後に造血幹細胞移植をする骨髄非破壊的移植(ミニ移植)が検討される。

支持療法
支持療法とは、がん細胞そのものを減少や死滅させる治療ではない。症状や合併症、治療に
ともなう副作用を予防・軽減する治療で、血液のがん治療をすすめるうえで重要になる。
具体的には、治療にともなう白血球減少にそなえ、感染しやすい場所(口の中、気道、肛門
周囲など)の治療やケア、白血球減少の状況での感染症の予防や治療のための抗生物質、抗
ウイルス薬、抗真菌(カビ)薬の投与、貧血にたいする濃厚赤血球の輸血、血小板減少にたい
する血小板の輸血、そのほか血液製剤や吐き気どめ使用など。症状の緩和だけではなく精神的
な支援をふくめ幅ひろい内容の支持療法がおこなわれる。

生活の質を重視した治療
緩和ケアは、がんが進行したときだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じおこな
われるもの。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や気分の落ちこみや孤独感など心
のつらさを軽くすること、その人らしい生活をおくることができるように緩和ケアでは医学的
な側面にかぎらず、幅ひろい対応をしていく。

最後に

成人T細胞白血病リンパ腫の初期症状には、頚部(首の部分)、わきの下、足のつけ根などの
リンパ節が腫れたり、肝臓や脾臓(ひぞう)が腫れることもある。細菌やウイルスにたいする
抵抗力がなくなり、肺炎などの感染症をおこし熱がでることがある。
骨髄にひろがった場合には、正常な赤血球や血小板が造られなくなる。そのため動悸、息切れ
などの貧血症状や鼻血、歯肉出血などの出血症状が見られることがある。
食欲低下や吐き気、のどの乾きなどの症状がつづくなと思ったら、早めの病院受診をおすすめ
します。

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